積極的な
人材育成投資
「人材こそ最大の資産である」
という理念
1955年創立時に集った若者たちは、決して華やかな経歴やスキルを備えていたわけではありません。しかし、どんな仕事にも誠実に、真摯に向き合う人間力こそがサービス業に求められる基盤であるとの考えのもと、当社は早くから「人材こそ最大の資産である」という理念を掲げてきました。
この理念は、今日まで脈々と受け継がれ、今なお、当社の人材戦略の中心に据えられています。創立から70年を迎えた節目にあたり、ダイワエクシードが築き上げてきた人材育成の歩みを振り返ることで、既存社員の誇りと結束を深め、そしてこれから入社を志す方々へ、私たちの「人を育てる力」と「共に育つ」という企業文化をお伝えできればと願っています。

社員を海外や研究機関へ派遣し
「店舗経営」の視野を広げる
1970年、当社は業界に先駆けて「社員海外研修制度」を導入しました。現在も継続して実施している制度ですが、当時の日本においては、外食産業が社員を海外へ送り出すという取り組みは非常に珍しく、その決断は先見性に満ちたものだったといえるでしょう。
目的は、世界のサービス文化や店舗運営に触れることで、視野を広げ、将来の幹部候補としての器を養うこと。そして、現場の仕事に励む若者たちに、世界を舞台にした学びの機会を提供すること。これらの試みは、のちのチェーン展開にもつながる礎となりました。
一方、アメリカで生まれたチェーンストア理論を日本で研究・推進するペガサスクラブにも社員を派遣。多店舗経営において、本部に経営活動を集中させ、店舗はオペレーションに専念するこの効率化を図る経営手法を確実に学び、店舗数拡大につなげていったのです。
ホスピタリティを高める
多彩な育成プログラム
組織力強化を目的とし、1972年には「DMP(Dynamic Management Program)訓練」を導入しました。リーダーに求められる判断力や論理的思考、チーム内での合意形成力を育むことを狙いとしたこの訓練は、単なる業務遂行の能力ではなく、「考える力」を育てる先進的な取り組みとして、社内に定着していきました。
1979年には、業界では画期的とされた「ビデオ教育システム」を開始。これにより、接遇や衛生管理、店舗運営などに関する知識を、全社員が統一的に学べる環境を整備しました。現場からのフィードバックも逐次収集され、教育内容のブラッシュアップが行われる双方向型の学習を展開したのです。
1980年には、30人の社員がアメリカを訪れ、最先端のレストラン・ホテル業界の実情を視察しました。
その翌年には、米・コーネル大学大学院ホテルレストラン学科への社員派遣を開始。世界最高峰のホスピタリティ教育を学んだ彼らが帰国後に担った役割は大きく、ダイワエクシードの教育体制はここから国際基準を意識するようになっていきます。
1982年には「脳力開発プログラム」を導入し、社員一人ひとりの潜在能力の発見と開花を図りました。記憶力、集中力、創造性など、実務以外の「内面的な力」を重視する姿勢は、当時としては異例といえるでしょう。
さらに1983年には、通信教育制度を導入し、時間や場所を選ばずに学べる環境を整備。これにより、自己研鑽を支援する企業文化が定着するきっかけとなりました。

各種人材教育を実施するなか、写真は1985年に導入された、
自己革新を目指したD2P(ダイナミック・パワーアップ・プログラム)による社内訓練の様子
“個”を尊重し、成長を促す
充実のキャリア教育
1990年代以降、求められる人材像も多様化していきます。現場力だけでなく、経営感覚や数値管理、法務・財務の知識など、より広範な能力が必要とされるようになりました。
こうした変化に対応すべく、個別のキャリアに応じた育成支援制度の設計を促進。内部昇格型のマネジメント研修や職種別のOJT支援、リーダー候補を対象としたアセスメント・センター方式の評価など、個々の能力と志向に応じたキャリアパスの構築が始まったのもこの頃です。
2012年、再び海外研修が再開され、11月には20人の社員が中国・上海へ。翌2013年には香港・台湾へも社員を派遣し、アジア圏でのビジネス視察と異文化理解を深める取り組みが強化されました。
2015年には社員のスキル向上を支援する「資格手当制度」を導入。国家資格や民間検定などへのチャレンジを企業としてサポートし、社員の自発的な学びを後押ししました。
デジタル時代であっても、
「人を育てる企業」に徹したい
コロナ禍の直前、2020年にはシンガポール研修を2班に分けて実施。それまでの集団派遣型から、より小規模かつ密度の高い体験型研修へと方針をシフトし始めた矢先のパンデミックでした。
現地渡航が困難になる中でも、当社はオンラインによる研修の開発やeラーニング導入を進め、育成を止めることはありませんでした。
2024年には、バンコクへの海外研修が再開され、2班に分かれて社員計16人を派遣。若手リーダーを中心に、現地の飲食文化やマーケティング事例、サービススタイルを学び、今後の国内外展開に向けた視点を養っています。
70年の歴史の中で、当社は常に「人を育てる」ことに真剣に取り組んできました。それは一時的な制度や流行に乗るのではなく、社員一人ひとりの可能性に深く向き合い、組織としてその成長を支え続けることです。
今後は、AIやデジタル技術の活用が進む中で、人の価値が問われる時代となっていきます。当社はその中にあっても「人が人に提供する価値」、つまり人間らしいホスピタリティや信頼に基づくサービスを大切にし続け、100年企業を見据えた人づくりを進めてまいります。
この70年、当社を支えてくれたすべての社員、そしてこれから共に働く未来の仲間たちへ「ダイワエクシードは、人の成長に本気で向き合う企業である」と自信を持って伝えたいと思います。

1970年の大阪万博を機に導入された社員海外研修制度は、今も継続して実施されている